2016年春闘の回答がありました。大幅賃上げに加えて、賃金是正の継続が必要です。

【2016年春闘要求書に対する回答】

1.賃上げ

 ①正社員:2.5%(年功給0.7%、職能給0.9%、リンク分0.9%)

  嘱託員(60歳未満):2.5%(配分は正社員と同じ)

 ②パートタイマ:時給20円

 ③再雇用社員:現在は考えておりません。

 ④賃金水準の低下している年代の賃金是正を継続すること。

  :2010年から続けてきた年代による賃金是正は昨年で完了したものと判断します。

 ⑤査定配分について、労使合意の配分方法を実施すること。

  :①の内訳で回答した通りです。

 ⑥政策的な査定は行わないこと。

  :政策的な査定は行っていません。

2.企業の将来展望にかかわる要求

 (企業情報を含みますので、ここでは省略します)

【JMIU支部の見解】

(1)1998年を基準に賃金水準を比較することが、事実上の労使の一致点でした。この

   ことを無視していることが、最近の会社と連合労組の共通点です。

 3月15日の団交で会社は、「2010年から続けてきた年代による賃金是正は昨年で完了したものと判断します」と回答しました。理由は、「年代間の大きな賃金格差は解消したと考えている」というものです。

また、連合労組は「昨年まで賃金水準の低下がみられる年代に対する是正を要求してきましたが、今年度、賃金調査を行った結果、大きな世代間格差が解消されていることを確認しました」と表明し、賃金是正を要求しませんでした。しかし、具体的な現在の賃金カーブは開示していません。

JMIU支部は、「1998年を基準に賃金水準が低下している」ことを、2008年から一貫して具体的に指摘し、是正を要求してきました。

会社は、2010年春闘で賃金水準の低下を認め、是正を実施してきました。その際、会社は、「JMIU支部が示した以外の賃金水準低下に関する基準」を示したことはありませんでした。

したがって、1998年を基準に賃金水準を比較することが、事実上の労使の一致点でした。このことを無視して、「年代間の大きな賃金格差は解消した」と主張し始めたことが、最近の会社と連合労組の共通点です。

2009年から2015年までの賃金是正の累積額は最大でも7,450円に過ぎません。2012年の時点では、1998年と比較して、男子の場合、20代は約1万円程度上昇していますが、30代後半で2万円以上、40代で4万円以上も平均賃金が低下しています。女子は全年代で約1万円程度、平均賃金が低下しています。

その後、2013年~2015年の3回の昇給でこの賃金低下が解消したとは考えられません。JMIU支部は今年3月15日の団交で、「1998年と現在の、男女別年齢別の賃金(基本給+地域手当)の比較データ」の開示を要求しましたが、会社は応じていません。

JMIU支部は、大幅賃上げに加えて、賃金是正の継続を求めて春闘を継続します(次回団交は、会社の都合により4月6日です)。

 【2008年】

・JMIU支部が「三つ子の弊害(低昇給、異常に大きな査定配分、政策的な査定)」に

 よって、1998年と比較して賃金水準が低下していることを解明し、初めて会社に是

 正を求めました。

・春闘第3次回答で30代と40代の正社員に0.1%の上乗せ回答を勝ち取りました(30代と40代の昇給率は2.0%、その他の年代は1.9%)。

 【2009年】

・正社員全員に一律450円の賃金是正を実施しました。

 【2010年】

・会社が正式に賃金水準の低下を認めました。

・春闘第2回団交で会社は、「35歳~45歳の従業員の平均賃金が低下していることを

 会社としても確認しました」と表明し、35歳~45歳の正社員に一律1,000円の

 賃金是正を実施しました。

・JMIU支部は次のように応じました。「会社も認めているように(少なくとも)35

 歳~45歳の従業員の賃金水準は低下しています。10年以上にわたって定期昇給

 (2.0%)にも満たない低昇給が続いたからです。低下してしまった賃金水準を一回

 の春闘で回復させることは事実上不可能ですが、今年の春闘を賃金水準を回復させる第

 一歩にしなければなりません。」

 【2011年~2014年】

・30代、40代を中心に一律1,000円~1,500円の賃金是正を実施。

 【2015年】

賃金是正を縮小(25歳~45歳に一律500円)

秋季闘争で会社は突然、「年代間の大きな賃金格差は解消した」と主張。

 【2016年】

「賃金是正は昨年で完了した」と会社が回答。 

(2) 再雇用社員の労働条件改善の前進回答を求めます。

再雇用社員について「一律3.8%の賃上げを実施すること。家族手当、住宅手当を支給すること」を要求しましたが、会社の回答は「現在は考えておりません」とのゼロ回答でした。

現在の再雇用社員の賃金水準は、年金受給を併用することを前提に、会社が一方的に組み立てました(再雇用制度が始まった頃は、まだ年金の「報酬比例部分」を60歳から受給することが可能でした。また、再雇用社員の労働条件は、労働組合の同意が不必要でした)。ところが、誕生日が1953年4月2日以降の男性(女性は1958年4月2日以降)は、既に年金ゼロの期間があります。そして、やがて65歳まで年金ゼロとなってしまいます。

JMIU支部には60歳以上の方からも、多数の春闘アンケートが寄せられています。その中には、「貯金を切り崩しながら生活している」といった切実な声があります。再雇用社員には賃上げがありません。扶養家族がいても家族手当が支給されません。世帯主でも住宅手当が支給されません。それに加えて、年金を受給することもできなくなっています。

東京測器の現在の年齢構成では、再雇用社員に企業活動のかなりの部分を担ってもらう必要があります。改めて、再雇用社員の労働条件の改善を要求します。

詳細は、「JMIU組合ニュース(2016年3月25日付)」をご覧ください。ニュースは「支部ニュース全文(社員限定)」で閲覧・ダウンロードできます。ログインパスワードは「お問合わせ」からお問合わせください。折り返し、JMIU支部から返信します。